血液製剤・血漿分画製剤・血液製剤が必要となる病気の種類などを学ぶことができます。
勉強会<平成18年2月15日開催>
演者:特定非営利活動法人 日本川崎病研究センター 理事長 医学博士 川崎 富作 先生
川崎病という病気には私の名前がついていますが、実際は「急性熱性皮膚粘膜淋巴(リンパ)腺症候群」という非常に長い名前です。これでは、ご家族に病名を説明するのに不便で、現在では短くなって川崎病で通っていますが、私が命名したわけではありません。
川崎病が現在のように認識される以前は、スティーブンス・ジョンソン症候群や猩紅熱と診断されることがよくありました。 スティーブンス・ジョンソン症候群には眼が目やにで塞がったり、体中の発疹に水ぶくれができたりという特徴があります。
猩紅熱はA群溶連菌という細菌でおこる病気です。 喉が真っ赤になり、舌がいちごの肌のようになり(写真)、手足の皮がむけたり(写真)と川崎病と似ている特徴があります。 しかし、川崎病では猩紅熱とは違って、喉を調べてもA群溶連菌がまったく出てきません。 また、抗生物質が効きませんし、発疹の形もまったく違います。それでも初めのころはその違いが判らなかったのです。
最初に川崎病の患者さんに出会ったのは1961年1月5日です。
4歳3ヵ月の男の子で、暮れから高熱が2週間続き、首のリンパ腺が腫れ、眼と唇が真っ赤になり、いちご舌、発疹が全身にでています。そして、手のひらと足の裏が赤く腫れて、あとで指先から皮がむけました。 スティーブンス・ジョンソン症候群と違って、目やにや水ぶくれがまったくない、全身の発疹も猩紅熱とは違う、抗生物質を使っても熱が一向にさがらない。いままで経験したことのない特徴をもった患者さんでした(図)。
それから1年後、1962年2月に、1例目とそっくりの症状の患者さんが入院してきました。眼が真っ赤ですが目やにがなく、唇が真っ赤でいちご舌、全身には猩紅熱とは違う発疹。そして、手のひらと足の裏が赤く腫れて、あとで指先から皮がむける。
同じ特徴をもった患者さんが2例存在したという実感がわき、非常に興味を持ちました。そうすると、その年の10月までに立て続けに5例が入院し、7例になったところで「非猩紅熱性落屑症候群について」の題名で学会で発表しました。