血液製剤について

血液製剤・血漿分画製剤・血液製剤が必要となる病気の種類などを学ぶことができます。

勉強会<平成18年2月15日開催>
演者:特定非営利活動法人 日本川崎病研究センター 理事長 医学博士 川崎 富作 先生

第3回 血漿分画製剤の有用性

5.川崎病の今後−疫学と原因究明

川崎病の療学データ

1970年から2年に1回、川崎病の全国調査を行っています。最近では、2003年、2004年を対象とした第18回全国調査が行われました。

川崎病は、1歳前後をピークに4歳以下が約85%を占め、小さいこどもがかかりやすい病気です。男女比では1.4:1と男の子が多くかかり、冠状動脈瘤を残すことも男の子が多いのです。

これまでに、1979年、1982年、1986年と3回の流行があり、3~4年間隔で流行する病気と考えていました。ところが3回目以降は流行がなくなってしまいました。

しかし、患者さんの数は年々増加し、2004年の調査では9,992例、年間に1万例、そのくらい患者さんが増えています。そして患者さんの総計は20万人を超えてしまいました(グラフ)。

川崎病は世界中で発症する病気ですが、日本くらい患者数が多い国はありません。 画像をクリックすると拡大表示します。

川崎病のように血管に炎症を起こす病気はいろいろあります。

大きな動脈に炎症を起こす病気には高安病があります。川崎病は冠状動脈を中心に中程度の動脈に炎症が起こります。それ以外に小さな動脈に炎症を起こすものに、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病など、いろいろな病気があります。

しかし、血管に炎症を起こすこのような病気、特に日本人の名前がついた高安病や川崎病の原因は、残念ながらよく判っていません。

川崎病の原因について、日本や米国などの研究者から様々な説が報告されています(表)。

川崎病の病因論の仮説

大きく分けると感染説と非感染説がありますが、残念ながら他の研究者が確認しても、同じ結果が再現できない。つまり、すべて仮説のままであるということです。是非、日本の研究者によって解明してもらいたいと思っています。

そして、最終目標は原因をはっきりさせて、予防法を確立すること。「病気にかからない」、「川崎病に苦しむこどもたちを救う」、これが臨床医にとって最終目的です。

以上

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