血液製剤・血漿分画製剤・血液製剤が必要となる病気の種類などを学ぶことができます。
関連疾患
細菌の感染症は、通常、抗生物質の投与によって治癒します。しかし、以下のような原因で免疫力が低下しているような場合、感染症にかかると重症化しやすいことが知られています。一般的に、発熱や下痢など感染症の症状が重く、抗生物質を3日間投与しても症状がよくならない場合、「重症感染症」と考えられます。
*MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌):強力な抗生物質であるメチシリンが効きにくい黄色ブドウ球菌
重症感染症では、全身状態の悪化(発熱、頻脈、頻呼吸、倦怠感)、臓器障害(意識不明、乏尿、肝機能障害、呼吸不全)などの症状がみられます。おもな重症感染症としては、敗血症、肺炎などの呼吸器感染症、腎盂炎などの尿路感染症、腹膜炎、胆嚢炎などの消化器感染症、やけど、手術後に起きる感染症などがあり、生命にかかわる疾患です。
そのような場合、抗生物質だけでは症状が治らないことがあり、免疫グロブリン製剤が併用されることがあります。免疫グロブリン製剤は、重症感染症に対する有効性が認められ、長年使用されています。重症感染症における免疫グロブリン製剤の再評価試験では、抗生物質単独で治療した場合に比べ、免疫グロブリン製剤と抗生物質を併用した場合、より優れた治療効果を示しました。
免疫グロブリン療法は、成人の場合、通常1日に免疫グロブリン製剤5g(100mL)を3日間連続してゆっくり点滴静注します。小児の患者さんの場合、通常1日に体重1kgあたり免疫グロブリン製剤50~150mg(1~3mL)を3日間連続でゆっくり点滴静注します。
<大阪府立成人病センター顧問 正岡 徹先生(2008年5月監修)>