血液製剤・血漿分画製剤・血液製剤が必要となる病気の種類などを学ぶことができます。
関連疾患
免疫グロブリン製剤には各種ウイルスに対する抗体(免疫グロブリンG)が幅広く含まれており、ウイルス感染症においても効果を発揮します。
ウイルスが体内に侵入するとターゲットとする細胞に結合し、細胞の中に侵入して増殖し、感染がひろがります。免疫グロブリンGはウイルスと結合し、細胞へのウイルスの結合や侵入を阻害し、ウイルスの増殖を妨害することでウイルス感染を防ぐ効果があります(ウイルスの中和作用)。
現在、免疫グロブリン製剤の中で筋注用免疫グロブリン製剤は、麻疹(ましん)、A型肝炎、ポリオ(急性灰白髄炎)の感染予防と症状の軽減に適応されています。
麻疹ウイルスの感染(唾液などによる飛沫感染、空気感染)によって起こる病気で、「はしか」とも呼ばれます。潜伏期は10~12日で、発熱、咳、鼻汁、めやに、などのかぜに似た症状がみられます。発熱とともに発疹がみられ、発疹が全身に広がった頃には熱は下がります。ときに重い肺炎や脳炎を発病することがあります。
A型肝炎ウイルス(HAV)の感染によって起こる急性肝炎で、日本の急性肝炎の約30%を占め、HAVに汚染された水や魚介類を摂取することで感染します(経口感染)。感染すると、2~6週間の潜伏期の後、高熱、全身倦怠感、下痢、食欲不振など風邪に似た症状を呈します。その後黄疸が2~4週間ほど続きますが、症状は一過性で、慢性肝炎に移行することはなく、劇症肝炎になることも稀です。
ポリオは、感染者の糞便や汚染された飲食物(ミルクや水など)を通して、ポリオウイルスが口から体内に侵入して起こる病気です。
日本では、経口生ワクチンの定期接種により、発生はみられなくなりました。症状は通常7~12日の潜伏期間の後、軽症の場合は軽いかぜや胃腸病の症状ですが、重症の場合は筋肉、特に下肢の麻痺が起きることがあります。
<大阪府立成人病センター顧問 正岡 徹先生(2008年5月監修)>