血漿分画製剤のいろいろ

血液製剤・血漿分画製剤・血液製剤が必要となる病気の種類などを学ぶことができます。

血漿分画製剤のいろいろ

血友病製剤

血友病と遺伝

血友病は突然変異で生じることもありますが(30~40%)、主に遺伝によって生じる疾患です。著名な例に、イギリスのビクトリア女王の家系を挙げることができます。ビクトリア女王が、血友病の保因者(キャリア)であったため、代々に渡って血友病があらわれました。

ビクトリア女王の子孫にみられた血友病の遺伝

この英国王室の例でみられるように、血友病を発病するのは男性で、女性は保因者となって血友病の遺伝子を子孫に伝えます。血友病は、母親を介して、男性に対し隔世的に発症しますので「伴性遺伝」あるいは「X連鎖劣性遺伝」と呼ばれています。血友病では、性染色体「X」上の第Ⅷ(はち)因子又は第Ⅸ(きゅう)因子というタンパク質を作る遺伝子に異常が生じたため、正常な第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子を作れません。そして、出血した時、血が固まりにくく、ひどい場合には出血によって死亡することもある重篤な疾患です。現在では治療として不足している第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子を補充するための製剤が使用されています。

血友病は、ほとんどの場合、男性に生じます。その理由は、女性では性染色体がXXであるため、その一方に異常が生じても、他方の染色体が第Ⅷ因子や第Ⅸ因子のタンパク質を作りますので、見かけ上健常者と変わらない保因者(キャリア)になります。しかし、男性は性染色体がXYで、X染色体に障害を持った場合、対となるY染色体には第Ⅷ因子や第Ⅸ因子の遺伝子がないため、血友病となります。

稀な例ですが、血友病の男性と保因者の女性が結婚すると、出生する女性の半分に血友病が出現します(下図の(c)の例)。日本においては、38人の女性血友病患者さんが報告(2010年)されています。

血友病の遺伝形式 日本における血友病とフォン・ヴィレブランド病(VW病)患者さん数 血友病出現頻度内訳先天性凝固異常の内訳

血友病の出血症状

血友病患者さんの出血症状は、重症度に応じて、まちまちです。病状は、正常な人の血漿中の第Ⅷ因子(FⅧ)又は第Ⅸ因子(FⅨ)活性(1.0単位/mL)を100%として、次のように区分されています。

血友病の重症度

出血しやすい部位

<聖マリアンナ医科大学小児科学特任教授 瀧 正志先生 監修>

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