用語集

血液製剤・血漿分画製剤・血液製剤が必要となる病気の種類などを学ぶことができます。

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ハ行

不完全分子型静注用グロブリン製剤

免疫グロブリン製剤は、コーンの低温エタノール分画法によって血漿中の免疫グロブリンを精製濃縮することで製造されます。

この方法で製造された免疫グロブリン製剤には、免疫グロブリンの凝集体(二量体、三量体など)が多く含まれ、静脈内注射(静注)すると重篤な副作用が発現することから、筋肉内注射(筋注)用に限って使用されました。一方、この筋注用グロブリン製剤は、筋注による疼痛や、投与後血液内に到達するまでに時間を要するため速効性が期待できないこと、大量投与ができないことなどの理由で、利用が制限されていました

筋注用免疫グロブリンにペプシン(酵素)を反応させると、副作用の原因と考えられる補体の異常な活性化が起こりにくくなることが見出され、1962年に初めての静注用のペプシン処理人免疫グロブリン製剤が開発されました。この製剤は酵素によって補体の結合部分である免疫グロブリンのFc部分が分解切断されたものです。欠点としては分子の一部を欠損しているためFc由来の生物活性は期待できず、半減期は短くなっています。さらにそれらの問題を解決するため プラスミン処理製剤も開発されました

これら酵素処理製剤は、本来の免疫グロブリン分子の一部が欠損しているため、不完全分子型静注用グロブリン製剤と呼ばれます。なお、現在市販されている製品はありません。

免疫グロブリンG(lgG)の模式図

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