血漿分画製剤のいろいろ

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血漿分画製剤のいろいろ

免疫グロブリン製剤

免疫グロブリン製剤の開発史

免疫グロブリン製剤は、私たちの血液中に含まれる(血漿タンパクの17~18%を占める)免疫グロブリンG(抗体)というタンパク質を高純度に精製・濃縮した製剤です。コーンの低温エタノール分画法という、アルコールを使って血漿中の免疫グロブリンGを精製濃縮することで製造されます。

最初に筋肉注射(筋注〔きんちゅう〕)用の免疫グロブリン製剤が開発されました。この筋注用製剤には、免疫グロブリンGの凝集体(免疫グロブリンGの一部が凝集したもの)が多く含まれていました。免疫グロブリンGの凝集体は病原体などの抗原と結合しない状態で補体と結合し、補体を異常活性化するため、静脈内注射(静注〔じょうちゅう〕)すると重篤な副作用が発現することから、筋注に限って使用されます。一方、この筋注用免疫グロブリン製剤は、筋注による疼痛や、投与後血液内に到達するまでの時間が長いため速効性が期待できないこと、筋注のため大量投与ができないことなどの理由で、臨床上の利用が制約されていました。

免疫グロブリン製剤開発ミニ年表

そこで、筋注用製剤の欠点を克服した静脈注射用(静注用)の免疫グロブリン製剤が開発されました。最初に開発されたのはペプシンなどの酵素で処理した製剤です。このタイプの製剤は、筋注用製剤の副作用の原因である補体の結合部分(Fc部)を切断分解したものです。欠点としては、Fc由来のオプソニン効果などの生物活性は期待できず、また血中半減期は短いことです。これら酵素処理製剤は、本来の免疫グロブリンGのFc部が失われているため、不完全分子型静注用免疫グロブリン製剤と呼ばれます。

その後、免疫グロブリンGをそのまま投与できる完全分子型の製剤が開発されました。一つはスルホ化などの化学処理によって補体と免疫グロブリンGの反応を抑えた製剤であり、もう一つは副作用の原因である免疫グロブリンGの凝集体を除いたり、解離させたりした製剤です。現在はこれらの完全分子型静注用免疫グロブリン製剤が国内で広く使われています。

免疫グロブリン製剤の特徴

さらにその後、2013 年に無または低ガンマグロブリン血症を対象とした皮下注用免疫グロブリン製剤が開発されました。

<大阪府立成人病センター顧問 正岡 徹先生(2015年4月監修)>

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