血液製剤について

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関連疾患

アルブミンの低下

ネフローゼ症候群〔ねふろーぜしょうこうぐん〕

ネフローゼ症候群は、腎臓の働きが悪くなり、人体に必要なタンパク質が尿として排泄されてしまうために起こる病態です。原因は様々ですが、もともと腎炎など腎臓の疾患で起きる場合と、糖尿病など他の病気に伴って腎臓に障害が起こる場合があります。

腎臓にあるフィルター(糸球体)は、血液をろ過し、不要な物質だけを尿として排泄しています。そのため、健康な時は、身体に必要なタンパク質(アルブミンなど)などはろ過されずに、再び体内を循環します。しかし、何らかの原因によって腎臓がうまく機能しなくなると、タンパク質が尿と一緒に排出されてしまうことがあります。これを「尿タンパク」と言います。

その結果、血中アルブミン濃度が低下し、低アルブミン血症を引き起こします。低アルブミン血症は、結果的に、肝硬変と同じ浮腫による腹水や胸水を生じます。腎臓の障害からくるこのような症状を「ネフローゼ症候群」と呼んでいます。

ネフローゼ症候群の治療としては、①安静にする、②塩分の摂取を制限する、③水分の摂取を制限する、④食事療法を行う、などで浮腫と全身状態の改善を図ります。また、ステロイド剤、免疫抑制剤〔めんえきよくせいざい〕などの薬で治療を行います。余計な水分がとても多く、利尿剤〔りにょうざい〕を投与しても浮腫の改善が十分でない場合は、高張アルブミン製剤と利尿剤を併用して尿量の確保と浮腫の改善を図ります。

<東京慈恵会医科大学教授 星 順隆先生(2007年8月監修)>

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