血液製剤・血漿分画製剤・血液製剤が必要となる病気の種類などを学ぶことができます。
関連疾患
膵臓〔すいぞう〕は、食物を消化・分解するためのさまざまな酵素(膵酵素)を消化管に分泌します。 急性膵炎とは、種々の原因により膵酵素が活性化し、 自分の膵臓及びその周辺の組織を消化し始めてしまう炎症です。 それまで、なんの症状もなかった人に突然起こります。 その原因の多くは、飲酒や胆道疾患〔たんどうしっかん〕によるものです。
急性膵炎のほとんど(約90%)は、軽症または中等症で、症状として腹痛や悪心、 膨満感を示す程度です。軽症・中等症の場合、①飲み物をとらない、②食事をとらない、 ③膵酵素阻害薬を与える、などで多くは回復します。 しかし重症急性膵炎(約10%)では、炎症が膵臓周辺に広がります。 その影響で血管内皮細胞が収縮します。 そして血管を形づくる内皮細胞と内皮細胞の接着部分が大きく開いて、 アルブミンが血管内から血管外へ漏れ出ます。 これを「血管の透過性が進む」と呼んでいます。 アルブミンが漏れ出るため、循環血漿量が急激に減少してショックを引き起こします。 こうした状況を回避するため、大量の輸液(リンゲル液等)の他、 必要に応じて等張アルブミン製剤を投与します。
<東京慈恵会医科大学教授 星 順隆先生(2007年8月監修)>