血液製剤について

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ギラン・バレー症候群 [GBS:Guillain-Barre Syndrome]

ギラン・バレー症候群(GBS)は、筋肉を動かす神経(運動神経)の障害のため、手足に力が入らなくなる病気です。手足のしびれ感もしばしば伴います。時に脳神経も障害され、物が二重に見える、顔面筋の麻痺、飲み込みも障害されることがあります。約70%の症例では発病前に感冒様症状を認め、その後1~2週ほどして手足の脱力で発症します。症状は2~4週まで悪化し、その後ゆっくりと改善します。症状の重症度は様々で、軽症例では下肢の脱力などを認めますが、重症例では歩行ができなくなり、寝たきり、呼吸もできなくなることもあります。GBSの病因としては、自己の末梢神経に対する免疫異常が原因と考えられています。自己の末梢神経を攻撃する抗体や細胞の出現が原因ではないかと考えられています。

GBSの治療としては、以下の2つの治療法が行われています。

①免疫グロブリン静注療法(IVIG)

この治療法は免疫グロブリン400mg/kg/日、5日間、連日、点滴静注する治療法で、現在、GBSに対して第一選択される治療法です。

IVIGは血漿交換療法(PE)に比べ患者様への負担が少なく、いつでもどこでも治療を開始することができ、また小児に対しても治療可能な治療法です。

②血栓溶解療法

血栓を溶かす薬を使ってつまっていた血栓を再び開通させる治療法です。

GBSは、急速に進行して四肢の筋力低下のみならず呼吸筋までもが麻痺し重症となる場合、あるいは歩行不能、歩行障害などの後遺症を残す場合があるので、速やかに治療を開始しなければなりません。IVIGはGBS症状が進行性に悪化し、歩行が困難となる様な症例に対して行われます。IVIGは、治療開始までの時間が短く、点滴療法ですので、患者様への負担は少ない治療法です。IVIGによりGBSの症状が一旦回復した後に再び症状の悪化を認める場合(再燃)では、再度、IVIGを行うことがあります。

<埼玉医科大学教授 野村 恭一先生(2008年5月監修)>

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