血液製剤について

血液製剤・血漿分画製剤・血液製剤が必要となる病気の種類などを学ぶことができます。

関連疾患

自己免疫疾患

慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー 〔CIDP:Chronic Inflammatory Demyelinating
Polyradiculoneuropathy〕

発症から4週間以内に悪化する急性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(AIDP、ギラン・バレ−症候群)に対して、発症8週間以上かけて増悪する多発神経炎をCIDPといいます。CIDPにはゆっくり進行するタイプ(慢性進行型)と再発・寛解をくりかえすタイプ(再発寛解型)があります。

末梢神経を電線に例えますと、脱髄とは銅線を保護するビニールの絶縁体の所々が脱落するような状態です。電線なら漏電がおこりますが、神経の障害では、刺激(神経の電気信号)を伝える速度が遅くなります。CIDPではこの神経の伝導速度が正常の80%以下に低下します。

ギラン・バレー症候群(GBS)では約70%において発症前に何らかの感染症状を認めますが、CIDPでは発症の前に感染症状はみられません。CIDPの原因は現在もなお不明ですが、GBSと同様に自己の神経を攻撃してしまう自己免疫異常がその原因ではないかと考えられています。

CIDPの治療としては、以下の4つの治療法が行われています。

① 副腎皮質ステロイド薬療法

これまで免疫異常を伴う病気に対して広く行われている治療法です。一般に、副腎皮質ステロイド薬を経口で投与しますが、症状が重い時や急激な発症時にはステロイド大量点滴療法(パルス療法)が行われます。これはメチルプレドニゾロン1,000mgを3~5日間、点滴静注する治療法です。多くの場合ではパルス治療後に副腎皮質ステロイド薬の経口投与を持続します。

② 血漿交換療法(PE:Plasma Exchange)

血液成分の中の血漿に含まれる病気の原因物質を分離、除去し、血液を健常状態に保とうとする治療法です。血漿分離器を用いて血液を血漿成分と血球成分に分け、血漿中に含まれる原因物質(自己抗体)を除きます。特別な医療施設、医療チームを必要としますので、いつでもどこでも出来る治療法ではありません。

③ 免疫グロブリン静注療法(IVIG)

病気の原因として免疫異常が想定される場合に行われる治療法です。この治療法は免疫グロブリン400mg/kg/日、5日間、連日、点滴静注する治療法です。IVIGはPE療法に比べ患者様の負担が少なく、いつでもどこでも治療を開始することができ、また小児に対しても治療が可能なため、最近では、CIDPに対してIVIGを第一選択されている治療法です。

IVIGを行っても十分な症状の改善を認めない場合、あるいは一旦、神経症状が改善した後に再び増悪する場合では、再度IVIGを行います。IVIGで治療効果が認められない場合ではパルス療法、あるいは血漿交換療法を選択します。

④ 免疫抑制剤療法

病気の原因である自己抗体の産生を抑えるための治療法で、他の治療法によっても治療効果が得られない場合において行われる治療法です。免疫抑制剤は単独または他剤と併用し、症状に応じて増減します。

<埼玉医科大学教授 野村 恭一先生 監修>

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