血漿分画製剤のいろいろ

血液製剤・血漿分画製剤・血液製剤が必要となる病気の種類などを学ぶことができます。

血漿分画製剤のいろいろ

アルブミン製剤

アルブミン製剤の安全性と有効性

1.アルブミン製剤の安全性

1)アルブミン製剤のウイルス感染に対する安全性

(1)血漿分画製剤の全般的なウイルスに対する安全性について

原料となる血漿を得る段階から製品として出荷されるまで、何回もの厳しい「安全性を確保するための関門」が設けられています(詳細は血漿分画製剤の安全性をご覧下さい)。

(2)アルブミン製剤のウイルスに対する安全性について

アルブミン製剤は、1940年代からアメリカで製品化されました。

アルブミン製剤は、コーンのエタノール分画法で血漿にエタノールを加え、濃度を段階的に変えて製造されます。最後に、アルブミンがそれ以外の血漿タンパクから分離され、沈殿してきます。この沈殿物を水溶液にして60℃、10時間加熱処理し、製品になります。

アルブミン製剤の安全性は、以下のように確保されています。

  • ①原料となる個々の血漿について、ウイルス検査を行います。検査で合格した血漿だけが、原料として製造に使われます。
  • ②製造過程において、エタノール濃度を変えて何度も精製されます。ウイルスが存在した場合はこの過程で、アルブミンから分離し、除去されます。また高濃度のエタノールで、ウイルスは不活化されます。
  • ③60℃、10時間液状加熱されますので、ここでもウイルスは不活化されます。

アルブミン製剤は、今日の医学水準で考えられるできる限りの安全対策を実施しています。しかし、ウイルス感染やプリオン病の危険性を100%否定することはできません。人の血漿を原料とするため、理論的なウイルス感染等のリスクが残っているからです。

ただし、アルブミン製剤は、1940年代から世界で使用され、今日までウイルスに感染したという報告はありません。また、これまでにアルブミンを含む血漿分画製剤でプリオン病に感染した例も報告されておりません。

2)アルブミン製剤の副作用

通常の医薬品と同じように、アルブミン製剤にも、アルブミンそのものが原因で起こる、ショック、アナフィラキシー様症状、発熱、顔面紅潮、蕁麻疹〔じんましん〕、悪寒、腰痛、頭痛、血圧低下、嘔気などの副作用があります。アルブミン製剤のこれら副作用の発現率は低いと考えられています。

2.アルブミン製剤の有効性

第2次世界大戦以後、血液製剤はアメリカを中心に、全血製剤から血漿製剤、その後アルブミン製剤へと発展してきました。全血や血漿に比べ、血液型をあわせる必要もなく、輸血後肝炎の危険も無いため、アルブミン製剤の普及が進みました。

アルブミン製剤の適正使用指針(「アルブミン製剤の適正使用」を参照のこと)に基づき、以下の9つの病態でアルブミン製剤は有効と考えられ、医療機関で使用されています。

  • 1)等張アルブミン製剤の適応:①出血性ショック等、②人工心肺を使用する心臓手術、③循環動態が不安定な血液透析等の体外循環施行時、④凝固因子の補充を必要としない治療的血漿交換療法、⑤重症熱傷、⑥循環血漿量の著明な減少を伴う急性膵炎など
  • 2)高張アルブミン製剤の適応:①肝硬変に伴う難治性腹水に対する治療、②難治性の浮腫、肺水腫を伴うネフローゼ症候群、③低蛋白血症に起因する肺水腫あるいは著明な浮腫が認められる場合、④凝固因子の補充を必要としない治療的血漿交換療法

アルブミン製剤の有効性は、アルブミンの膠質浸透圧の作用を利用したものです。安田純一博士の「血液製剤<第2版>」(近代出版)には、アルブミン製剤使用の基本的な考え方について、次のように記載されています。

「アルブミン製剤の主要な用途は膠質浸透圧を維持する機能の利用である。この目的は大量の電解質溶液(生理食塩水)の使用によっても達せられるが、それでは必ず間質の浮腫を生じる。膠質状の血漿代用剤は一時的に出血を補うには有用であるが、大出血の治療の後期にはアルブミン製剤を用いる必要がある。」

また、同博士は「…アルブミン製剤の使用の原則は多数の(多くは必要のない)患者に少量ずつを与えるのではなく、真に適応症と考えられる少数の患者に大量に与えるのが好ましいといえる。」(同書)、とも述べられています。アルブミン製剤は、これらの基本的な考えに基づき、有識者により作成された「アルブミン製剤の適正使用」ガイドラインに従って、使用されることが求められています。

<東京慈恵会医科大学教授 星 順隆先生 監修>

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