血漿分画製剤のいろいろ

血液製剤・血漿分画製剤・血液製剤が必要となる病気の種類などを学ぶことができます。

血漿分画製剤のいろいろ

アルブミン製剤

アルブミン製剤の適正使用

アルブミン製剤の適正使用については、厚生労働省/編の「血液製剤の使用にあたって第3版」に詳しく記載されています。これに従って医療機関では病態の改善に使用されています。

要約 アルブミン製剤の適正使用

■目的
  • ●急性の低蛋白血症に基づく病態、また他の治療法では管理が困難な慢性低蛋白血症による病態に対して、アルブミンを補充することにより一時的な病態の改善を図るために使用する。
■使用指針

1)出血性ショック等

  • ●循環血液量の30%以上の出血をみる場合は、細胞外液補充液の投与が第一選択となり、人工膠質液の併用も推奨されるが、原則としてアルブミン製剤の投与は必要としない。
  • ●循環血液量の50%以上の多量の出血が疑われる場合や血清アルブミン濃度が3.0g/dL未満の場合には、等張アルブミン製剤の併用を考慮する。
  • ●腎機能障害などで人工膠質液の使用が不適切と考えられる場合には、等張アルブミン製剤を使用する。また、人工膠質液を1,000mL以上必要とする場合にも、等張アルブミン製剤の使用を考慮する。

2)人工心肺を使用する心臓手術

通常、心臓手術時の人工心肺の充填には、主として細胞外液補充液が使用される。人工心肺実施中の血液希釈で起こった一時的な低アルブミン血症は、アルブミン製剤を投与して補正する必要はない。ただし、術前より血清アルブミン濃度または膠質浸透圧の高度な低下のある場合、あるいは体重10kg未満の小児の場合などには等張アルブミン製剤が用いられることがある。

3)肝硬変に伴う難治性腹水に対する治療

  • ●大量(4L以上)の腹水穿刺時に循環血漿量を維持するため、高張アルブミン製剤の投与が考慮される。また、治療抵抗性の腹水の治療に、短期的(1週間を限度とする)に高張アルブミンを併用することがある。
  • *肝硬変などの慢性の病態による低アルブミン血症は、それ自体ではアルブミン製剤の適応とはならない。

4)難治性の浮腫、肺水腫を伴うネフローゼ症候群

  • *ネフローゼ症候群などの慢性の病態は、通常アルブミン製剤の適応とはならないが、急性かつ重症の末梢性浮腫あるいは肺水腫に対しては、利尿薬に加えて短期的(1週間を限度とする)に高張アルブミン製剤の投与を必要とする場合がある。

5)循環動態が不安定な血液透析等の体外循環施行時

  • ●血圧の安定が悪い場合の血液透析時において、特に糖尿病を合併している場合や術後などで低アルブミン血症のある場合には、循環血漿量を増加させる目的で予防的投与を行うことがある。

6)凝固因子の補充を必要としない治療的血漿交換療法

  • ギランバレー症候群、急性重症筋無力症など凝固因子の補充を必要としない症例では、等張アルブミン製剤を使用する。
  • *加熱人血漿たん白は、まれに血圧低下をきたすので、原則として使用しない。

7)重症熱傷

  • ●熱傷部位が体表面積の50%以上あり、細胞外液補充液では循環血漿量の不足を是正することが困難な場合には、人工膠質液あるいは等張アルブミン製剤で対処する。
  • *熱傷後、通常18時間以内は原則として細胞外液補充液で対応するが、18時間以内であっても、血清アルブミン濃度が1.5g/dL未満の時は適応を考慮する。

8)低蛋白血症に起因する肺水腫あるいは著明な浮腫が認められる場合

  • ●術前、術後あるいは経口摂取不能な重症の下痢などによる低蛋白血症が存在し、治療抵抗性の肺水腫あるいは著明な浮腫が認められる場合には、高張アルブミン製剤の投与を考慮する。

9)循環血漿量の著明な減少を伴う急性膵炎など

  • ●急性膵炎、腸閉塞などで循環血漿量の著明な減少を伴うショックを起こした場合には、等張アルブミン製剤を使用する。
■投与量
  • ●投与量の算定には下記の計算式を用いる。このようにして得られたアルブミン量を患者の病状に応じて、通常2~3日で分割投与する。

必要投与量(g)=期待上昇濃度(g/dL)×循環血漿量(dL)×2.5

ただし、期待上昇濃度は期待値と実測値の差。循環血漿量は0.4dL/kg、投与アルブミンの血管内回収率は4/10(40%)とする。

■不適切な使用

1)蛋白質源としての栄養補給

2)脳虚血

3)単なる血清アルブミン濃度の維持

4)末期患者への投与

■使用上の注意点

1)ナトリウム含有量

2)肺水腫、心不全

3)血圧低下

4)利尿

5)アルブミン合成能の低下

<東京慈恵会医科大学教授 星 順隆先生 監修>

ページトップ