血漿分画製剤のいろいろ

血液製剤・血漿分画製剤・血液製剤が必要となる病気の種類などを学ぶことができます。

血漿分画製剤のいろいろ

組織接着剤

シート状組織接着剤

3)シート状組織接着剤が使用される外科領域

シート状の組織接着剤は、呼吸器外科、心臓血管外科、消化器外科及び産婦人科領域などにおける手術時の組織の接着・閉鎖に使用されます。

シート状組織接着剤が使用される外科領域 (1)呼吸器外科 (2)心臓血管外科 (3)消化器外科 (4)産婦人科

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(1)呼吸器外科での主な使い方

肺がんの手術では、肺がんが存在する肺葉(はいよう:肺は5つの肺葉(右肺3つ、左肺2つ)と呼ばれる部分から構成されています)を含む葉切除(または二葉、一側肺全摘術)とリンパ節郭清(かくせい)が標準術式として行われてきました。近年は画像診断の進歩により小さな肺がんが見つかるようになり、切除する部位の大きさをより小さくするようになっています(区域切除または部分切除)。小さく切除することで、肺の機能を保つことが可能となりますが、切除した肺の縫合(ほうごう)ラインから空気もれが起こることがあります。また、肺は胸壁(きょうへき=肋骨;ろっこつ)に癒着している場合もあり、胸壁から肺をはがして手術を行う場合にもはがした肺から空気がもれやすくなります。

そこで、これらの肺からの空気もれを防止するために、シート組織接着剤が使われます。

(1)呼吸器外科での主な使い方

肺がんの手術では、がん細胞がある部分を切除します。肺の構造を利用して、肺葉をひとまとまりとして切除する方法や、さらに小さい区域のみを切除する方法があります。後者の区域切除の場合には、切除面から空気もれが起こる可能性があります。

そのため切除面にシート状組織接着剤を貼付し、空気もれを防止します。

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(2)心臓血管外科での主な使い方

心臓や大血管の手術では、血液の流れを止めたり、一時的に少なくしたりする必要があるため、薬を投与したり、体温を下げたりして、血液が固まりにくくする方法を併用した手術が数多く行われていますが、このような手術では出血しやすいという面もあります。こうした出血を防ぐためにシート組織接着剤が使用されます。

大動脈瘤(りゅう)の手術では、大動脈にできた瘤(りゅう)の破裂予防のために、人工血管に置き換える手術が行われます。大動脈を切除し、かわりに同じ形状をした人工血管を縫い合わせて置き換えます。上記のように心臓血管外科の手術では血が固まりにくい状態にあり、しかも人工血管には伸縮性がなく、針穴がふさがりにくいため、針穴からの出血が問題となることがあります。針穴からの出血を予防するために、シート状組織接着剤が使われます。

(2)心臓血管外科での主な使い方

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(3)消化器外科での使い方

消化器外科領域で最も多く組織接着剤が使用されるのは、肝臓の手術です。肝臓の一部を切り取る手術(肝部分切除術;かんぶぶんせつじょじゅつ)の肝切離面(かんせつりめん)に使用されます。肝切除術の適応となる病気は、肝臓がん(原発性(げんぱつせい)肝がん)が大部分です。肝臓には栄養物等が流入するための血管(門脈)や動脈あるいは静脈が豊富に存在します。また生成した胆汁を分泌するための胆管も存在しています。

手術では電気メス、超音波メス、マイクロ波手術器など、様々な機械を使って肝臓を切除しますが、前述の通り血管の豊富な臓器であるため、切離面(せつりめん)からの出血や、胆汁がもれること(胆汁漏;たんじゅうろう)があります。また、手術後の出血や胆汁漏もまれに発生します。これらの合併症を減少させるために肝切離面へシート状組織接着剤が使用されます。

(3)消化器外科での主な使い方

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(4)産婦人科での使い方

子宮筋腫(きんしゅ)摘出(てきしゅつ)術や悪性腫瘍(しゅよう)摘出術時に、摘出部位や縫合部(ほうごうぶ)から出血することがあります。閉腹した後に出血すると、周囲の臓器などとの癒着(ゆちゃく)の原因になる可能性もありますので、出血を確実に抑えておくことが必要です。そこでシート状組織接着剤が使われます。

(4)産婦人科での使い方

<慶應義塾大学医学部名誉教授 小林 紘一先生(2011年7月監修)>

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