血漿分画製剤のいろいろ

血液製剤・血漿分画製剤・血液製剤が必要となる病気の種類などを学ぶことができます。

血漿分画製剤のいろいろ

免疫グロブリン製剤

免疫グロブリン製剤の適応

特殊免疫グロブリン製剤

ある特定の抗体を多く含んだ免疫グロブリン製剤です。国内では以下の3種類の製剤が使用されています。

① 抗HBs〔エイチビーエス〕人免疫グロブリン(HBIG)

B型肝炎は、血液や体液を介して感染し、肝炎を引き起こすウイルス性疾患です。

この製剤はHBs抗体の濃度が高い免疫グロブリン製剤です。B型肝炎ウイルス陽性の血液等に接触した人に、事故後すぐに投与します。またB型肝炎ウイルスキャリア(保有者)のお母さんから生まれた赤ちゃんに母子感染予防のため、出産後すぐに投与します。製剤の投与により、赤ちゃんの血液中に入ってきたB型肝炎ウイルスを速やかに中和して、B型肝炎の発症を予防します。免疫グロブリンGは体内において1か月未満で半減します。そのため通常、HBワクチンと併用し、長期にわたるB型肝炎の感染予防効果を狙います。

② 抗破傷風人免疫グロブリン(TIG)

破傷風は、広く土の中にいる破傷風菌が外傷などで傷口から侵入・増殖し、その菌の出す毒素によって、全身の痙攣〔けいれん〕や呼吸停止を引き起こす重篤な疾患です。基本的には予防接種(3種混合ワクチンや破傷風トキソイド)で破傷風に対する免疫をつけて予防します。

この製剤は、破傷風菌の出す毒素に対する抗体の濃度が高い免疫グロブリン製剤です。外傷の際、速やかに投与することにより、破傷風菌の毒素を速やかに中和して、発症を予防します。また、破傷風を発症した場合でも、この製剤の投与により症状を軽くする事が出来ます。

③ 抗D人免疫グロブリン

血液型の一つとしてRhという赤血球抗原(このうち代表的なのはD抗原)があります。ほとんどの人の赤血球にはこの抗原があります(Rh +〔プラス〕)。しかし持っていない人(Rh−〔マイナス〕)が少数います。Rh−のお母さんがRh+(赤血球にD抗原を持つタイプ)の子どもを妊娠し、出産の時にD抗原をもつ子どもの赤血球がお母さんの血液に入り、抗D抗体ができることがあります。すると次にRh+の子どもを妊娠した時、お母さんの体内にできた抗D抗体が胎盤を通して子ども(胎児)の血液に入り、胎児のD抗原(陽性の赤血球)と反応し、重篤な溶血等が起こることがあります。

この製剤は、D抗原に対する抗体の濃度が高い免疫グロブリン製剤です。Rh−のお母さんがRh+の子どもを出産するごとに、毎回お母さんに投与することで、子どもの赤血球由来のD抗原を中和し、抗D抗体がお母さんにできるのを予防して、次の子どもへの影響を予防します。

抗体の産生と胎児溶血性疾患

<大阪府立成人病センター顧問 正岡 徹先生(2008年5月監修)>

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