血液製剤・血漿分画製剤・血液製剤が必要となる病気の種類などを学ぶことができます。
血漿分画製剤のいろいろ
【血友病関連凝固因子製剤の種類】
(2024年6月現在)
血友病Aの治療に用いられる第Ⅷ因子製剤には、(1)ヒト血漿から製造された製剤と、(2)ヒト血漿を材料とせず遺伝子組換え法によって製造された製剤があります。
血漿由来第Ⅷ因子製剤は、国内献血で得られた血漿から製造された製剤のみが供給されています。
ヒトの血漿を凍結し、その後、0度近くの低温でゆっくりと解凍するときに出来るクリオを原料として、各種の精製とウイルス不活化・除去工程を通して作られます。高純度第Ⅷ因子製剤ほど精製されていないため、血漿中で第Ⅷ因子と結合しているVWFが製剤中に含まれています。そのため、このタイプの製剤は、血友病Aにもフォン・ヴィレブランド病(VWD)にも使用することができます。
このタイプの製剤も、ヒト血漿からのクリオを原料にして作られますが、精製過程で第Ⅷ因子に対するモノクローナル抗体を使用して、第Ⅷ因子だけが血漿から分離され製剤となります。このように高純度第Ⅷ因子製剤はVWFを含まないので、VWDには効果がありません。血友病Aの患者さん専用の治療薬となります。
遺伝子組換え型製剤は、ヒト第Ⅷ因子の遺伝子を組み込んだ細胞を培養し、第Ⅷ因子(タンパク質)を産生させたのち、これをアフィニティークロマトグラフィー法やイオン交換樹脂クロマトグラフィー法などで純化精製して製剤化しています。国内では、第Ⅷ因子を発現する細胞が異なる3製品が供給されています。第Ⅷ因子を発現させる細胞として、1つの製品はチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、2つの製品にはベビーハムスター腎細胞(BHK)が使用されています。
遺伝子組換え型第Ⅷ因子製剤はVWFを含まないので、VWDには効果がありません。血友病Aの患者さん専用の治療薬となります。
遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤は、人免疫グロブリンG1(IgG1)のFc領域に血液凝固第Ⅷ因子を融合させた糖タンパク質であり、ヒト胎児腎細胞由来(HEK)細胞により産生させたのち、アフィニティークロマトグラフィー法やイオン交換クロマトグラフィー法などで純化精製して製剤化しています。平均消失半減期は、他の遺伝子組換え型第Ⅷ因子製剤と比較して約1.5倍です。
遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤はVWFを含まないので、VWDには効果がありません。血友病Aの患者さん専用の治療薬となります。
<聖マリアンナ医科大学小児科学特任教授 瀧 正志先生(2016年6月監修)>