血漿分画製剤のいろいろ

血液製剤・血漿分画製剤・血液製剤が必要となる病気の種類などを学ぶことができます。

血漿分画製剤のいろいろ

組織接着剤

液状組織接着剤

3)液状組織接着剤が使用される外科領域

液状組織接着剤は、からだの様々な部位の手術に使用されます。

液状組織接着剤が使用される外科領域 (5)産婦人科 (4)消化器外科 (3)心臓血管外科 (2)呼吸器外科 (1)脳神経外科

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(1)脳神経外科での主な使い方

脳腫瘍(しゅよう)、脳動脈瘤(りゅう)などの頭蓋内(ずがいない)手術では、頭蓋骨(ずがいこつ)を切り取り、脳を包んでいる硬膜を切り開いて、脳にある腫瘍の切除や動脈瘤の破裂を防ぐためのクリッピング術(医療用のクリップで瘤(りゅう)に出入りする血管の前後をはさんで止める方法)などを行います。硬膜と脳の間は脳脊髄液(のうせきずいえき=髄液)という液体で満たされており、脳の水分含有量を調節したり、脳の形状を保つ働きをしています。患部に対する処置が終わった後、切り開いた硬膜を縫い合わせますが、硬膜が脆弱(ぜいじゃく)な場合や乾燥して伸縮性がない場合などで、元通りに硬膜をしっかりと閉鎖することが困難な場合があり、髄液がもれることがあります。この髄液のもれを防ぐために、縫合(ほうごう)した部分の補強や針穴を埋める目的で、液状組織接着剤が用いられます。

(1)脳神経外科での主な使い方

脳と硬膜の間には脳脊髄液(のうせきずいえき=髄液)があり、脳を保護しています。開頭手術を行う場合、頭蓋骨(ずがいこつ)を切り開き、硬膜を切開します。脳の患部の手術が終わると、硬膜を閉鎖します。硬膜を縫い合わせた部分からの髄液のもれを防ぐために、液状組織接着剤を使います。

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(2)呼吸器外科での主な使い方

肺がんの手術では、肺がんが存在する肺葉(はいよう:肺は5つの肺葉(右肺3つ、左肺2つ)と呼ばれる部分から構成されています)を含む葉切除(または二葉、一側肺全摘術)とリンパ節郭清(かくせい)が標準術式として行われてきました。近年は画像診断の進歩により小さな肺がんが見つかるようになり、切除する部位の大きさをより小さくするようになっています(区域切除または部分切除)。小さく切除することで、肺の機能を保つことが可能となりますが、切除した肺の縫合(ほうごう)ラインから空気もれが起こることがあります。また、肺は胸壁(きょうへき=肋骨;ろっこつ)に癒着している場合もあり、胸壁から肺をはがして手術を行う場合にもはがした肺から空気がもれやすくなります。

そこで、これらの肺からの空気もれを防止するために、液状組織接着剤が使われます。

(2)呼吸器外科での主な使い方

肺がんの手術では、がん細胞がある部分を切除します。肺の構造を利用して、肺葉をひとまとまりとして切除する方法や、さらに小さい区域のみを切除する方法があります。後者の区域切除の場合には、切除面から空気もれが起こる可能性があります。

そのため切除面に組織接着剤を塗布し、空気もれを防止します。組織接着剤だけで塗布することもありますが、人工繊維布を用いて補強を行うこともあります。(図は人工繊維布で補強した上から組織接着剤を噴霧している様子です。)

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(3)心臓血管外科での主な使い方

心臓や大血管の手術では、血液の流れを止めたり、一時的に少なくしたりする必要があるため、薬を投与したり、体温を下げたりして、血液を固まりにくくする方法を併用した手術が数多く行われています。このような手術では出血しやすいという面もありますので、出血を防ぐために液状組織接着剤が使用されます。

大動脈瘤(りゅう)の手術では、大動脈にできた瘤(りゅう)の破裂予防のために、人工血管に置き換える手術が行われます。大動脈を切除し、かわりに同じ形状をした人工血管を縫い合わせて置き換えます。上記のように心臓血管外科の手術では血が固まりにくい状態にあり、しかも人工血管には伸縮性がなく、針穴がふさがりにくいため、針穴からの出血が問題となることがあります。針穴からの出血を予防するために、液状組織接着剤が使われます。

(3)心臓血管外科での主な使い方

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(4)消化器外科での使い方

消化器外科領域で最も多く組織接着剤が使用されるのは、肝臓の手術です。肝臓の一部を切り取る手術(肝部分切除術;かんぶぶんせつじょじゅつ)の肝切離面(かんせつりめん)に使用されます。肝切除術の適応となる病気は、肝臓がん(原発性(げんぱつせい)肝がん)が大部分です。肝臓には栄養物等が流入するための血管(門脈)や動脈あるいは静脈が豊富に存在します。また生成した胆汁を分泌するための胆管も存在しています。

手術では電気メス、超音波メス、マイクロ波手術器など、様々な機械を使って肝臓を切除しますが、前述の通り血管の豊富な臓器であるため、切離面(せつりめん)からの出血や、胆汁がもれること(胆汁漏;たんじゅうろう)があります。また、手術後の出血・胆汁漏も発生することがあります。これらの合併症を減少させるために肝切離面へ液状組織接着剤が使用されます。

(4)消化器外科での主な使い方

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(5)産婦人科での使い方

子宮筋腫(きんしゅ)摘出(てきしゅつ)術や悪性腫瘍(しゅよう)摘出術時に、縫合部(ほうごうぶ)や 摘出部位から出血することがあります。閉腹した後に出血すると、周囲の臓器などとの癒着(ゆちゃく)の原因になる可能性もありますので、出血を確実に抑えておくことが必要です。そこで液状組織接着剤が使われます。

(5)産婦人科での使い方

<慶應義塾大学医学部名誉教授 小林 紘一先生(2011年7月監修)>

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