血漿分画製剤のいろいろ

血液製剤・血漿分画製剤・血液製剤が必要となる病気の種類などを学ぶことができます。

血漿分画製剤のいろいろ

血友病製剤

血友病製剤投与量計算方法

【投与量の計算法】

3.インヒビター患者さんのバイパス製剤投与量の計算法

活性型プロトロンビン複合体製剤の規格
1) 活性型プロトロンビン複合体製剤は、出血症状に応じて、50~100単位/kgを8~12時間間隔で投与します。
具体例1(子供):
例えば、体重20kgで関節内出血に対応する時、仮に50単位/kgを投与すると決めた場合、必要投与量は次のようになります。
必要投与量(単位)=20kg×50単位/kg=1000単位

実際には、この単位数と同じか多めの単位数で、使用する瓶の数が最も少なくなるように製剤を投与します(瓶はいったん開封し溶解したら、すぐに全部を使い切ります)。

例えば、手持ちの製剤が500単位製剤、1000単位製剤だった場合、計算値の1000単位製剤1本の1000単位を投与してください。

具体例2(成人):
例えば、体重60kgで関節内出血に対応する時、仮に50単位/kgを投与すると決めた場合、必要投与量は次のようになります。
必要投与量(単位)=60kg×50単位/kg=3000単位

実際には、この単位数と同じか多めの単位数で、使用する瓶の数が最も少なくなるように製剤を投与します(瓶はいったん開封し溶解したら、すぐに全部を使い切ります)。

例えば、手持ちの製剤が500単位製剤、1000単位製剤だった場合、計算値の1000単位製剤3本の合計3000単位を投与してください。

活性型プロトロンビン複合体製剤の投与量一覧

活性型プロトロンビン複合体製剤の用法・用量

本品1瓶を添付の溶剤で溶解し、通常体重1kg当たり50~100単位を8~12時間間隔で、緩徐に静注又は点滴静注する(1分間に体重1kg当たり、2単位を超える注射速度はさけること)。

なお、年齢・症状に応じて適宜増減する。

ただし、原則として1日最大投与量は体重1kg当たり200単位を超えないこととする。


遺伝子組換え活性型第Ⅶ因子製剤の規格
2) 遺伝子組換え活性型第Ⅶ因子製剤は、90~120μg/kgを2~3時間毎に十分な止血効果が得られるまで投与します。
具体例1(子供):
例えば、体重20kgで関節内出血に対応する時、仮に90μg/kgを投与すると決めた場合、必要投与量は次のようになります。
必要投与量(mg)=20kg×90μg/kg=1800μg=1.8mg

実際には、この単位数と同じか多めの単位数で、使用する瓶の数が最も少なくなるように製剤を投与します(瓶はいったん開封し溶解したら、すぐに全部を使い切ります)。

手持ちの製剤が1mg製剤、2mg製剤だった場合、計算値より多めの2mg製剤1本の2mgを投与してください。

具体例2(成人):
例えば、体重60kgで関節内出血に対応する時、仮に90μg/kgを投与すると決めた場合、必要投与量は次のようになります。
必要投与量(mg)=60kg×90μg/kg=5400μg=5.4mg

実際には、この単位数と同じか多めの単位数で、使用する瓶の数が最も少なくなるように製剤を投与します(瓶はいったん開封し溶解したら、すぐに全部を使い切ります)。

手持ちの製剤が1mg製剤、2mg製剤、5mg製剤だった場合、計算値より多めの1mg製剤1本、5mg製剤1本の合計6mgを投与してください。

遺伝子組換え活性型第Ⅶ因子製剤投与量一覧 乾燥濃縮人血液凝固第Ⅹ因子加活性化第Ⅶ因子製剤の規格
3)乾燥濃縮人血液凝固第Ⅹ因子加活性化第Ⅶ因子製剤は、活性化第Ⅶ因子として、症状に応じて1回60~120μg/kgを投与します。追加投与を行う場合は、初回投与から8時間以上の間隔をあけて行い、初回投与の用量と合わせて、体重1kg当たり180μgを超えない用量とします。
具体例1(子供):
例えば、体重20kgで関節内出血に対応する時、仮に120μg/kgを投与すると決めた場合、必要投与量は次のようになります。
必要投与量(mg)=20kg×120μg/kg=2400μg=2.4mg

製剤は1.5mg規格なので、2本を溶解し、必要な2.4mgを抜き取って投与してください(瓶はいったん開封し溶解したら、速やかに使用します)。

具体例2(成人):
例えば、体重60kgで関節内出血に対応する時、仮に120μg/kgを投与すると決めた場合、必要投与量は次のようになります。
必要投与量(mg)=60kg×120μg/kg=7200μg=7.2mg

製剤は1.5mg規格なので、5本を溶解し、必要な7.2mgを抜き取って投与してください(瓶はいったん開封し溶解したら、速やかに使用します)。

乾燥濃縮人血液凝固第Ⅹ因子加活性化第Ⅶ因子製剤の投与量一覧 バイパス製剤の使用方法

*詳細につきましては日本血栓止血学会のホームページを参照ください。

http://www.jsth.org/

在宅療法(自己注射)

オンデマンド療法、予備的補充療法、定期補充療法、いずれの方法で第Ⅷ因子製剤または第Ⅸ因子製剤を投与するにしても通院して第Ⅷ因子製剤または第Ⅸ因子製剤の投与を受けるのは、学業や仕事に影響を与えます。こうした影響を軽減する目的で、1983年に患者さん自身あるいは家族の方が、家庭で第Ⅷ因子製剤または第Ⅸ因子製剤を投与すること(在宅療法)が公的に認められました。第Ⅷ因子製剤、第Ⅸ因子製剤とともに活性型プロトロンビン複合製剤、乾燥濃縮人血液凝固第Ⅹ因子加活性化第Ⅶ因子製剤および遺伝子組換え活性型第Ⅶ因子製剤も在宅療法(自己注射)が認められています。在宅療法を始めるにあたっては医療機関で知識と注射手技の指導を受ける必要があります。下図は注射に必要なものの例です。

自己注射に必要なものの例

<新潟県立加茂病院名誉院長 高橋 芳右先生(2016年6月監修)>

ページトップ